Luisと映画"JOKER"
どうも。
今回は映画"JOKER"について。
プレビュープレビュー2:25JOKER - Teaser Trailer - Now Playing In Theaters
日本で10月4日より上映されているこの映画、TwitterとかInstagramを見る限り
日本でも大ヒットしているっぽいけど、僕ははっきりいって1ミリも興味がなく、
Luisに誘われなかったら見にいっていなかったと思う。
まずはじめに、メキシコで"JOKER"の扱いって少し異なっていて、アナーキストって
イメージが一番しっくりくるみたい。つまり、「いつも笑っているイかれたピエロ」ではなく、「ピエロの仮面を被ったアナーキスト」って言うイメージ。
なんだかんだこの違いはこの映画の見方に大きく関わっていると思う。
日本ではいわゆる「ヴィラン」としての見方が強いのに、メキシコやアメリカでは
「政治的なアイコン」が一人のキャラクターに宿っているってとてもおもしろい。
ネタバレはしないようにしたいから映画の内容については深く言及しないけど、
Luisは「今回の"JOKER"が社会的に話題になるのもわかるね」と言っていた。
アナーキストやアナーキズムはメキシコのような「連邦政府」の力が強い国では非常に大きな問題らしい。
メキシコは「欠陥のある民主主義」と言われるくらい大統領の権力がとにかく強い。
さらに、日本とは異なって「合衆国」だからさらに政府は力をつける必要がある。
ところが、"JOKER" はこの基盤を揺るがすには十分すぎる影響力を持っていたと思う。
事実、"JOKER"はカッコよかった。
ところがこれを「アナーキズム」を知らずに見てしまうと非常に危険、特に政府にとっては。だってそれを育んでしまうから。
例えば、僕とLuisが映画館を出て駐車場に向かっている時大声で喧嘩している親子を見かけた。話を盗み聞きしていると、どうやら息子(見た目18歳以上)が母親に向かって
「俺もアナーキストになろうかな」と冗談を言ったようで、その発言が彼の母親を激昂させてしまったようだった。
「あなたはアナーキストがどういうものかわかっていない。」や、「犯罪者に育てた覚えはない」ととにかく息子をボコボコに言っていた。
それだけアナーキズムはメキシコ人にとっては怖い思想なのだと思う。
また、Luisの大学では「銃と爆弾を持って大学で暴れる」と言う脅迫文が学校に届いて休校になっていた。もちろんこれも"JOKER"の公開後。
別にどれもこれも"JOKER"につなげたいわけではないけれど、いわば「殺害予告」のようなものが学校に送られてくる時点でかなりやばいし、さらに休校になったのもなかなかやばい。と言うのも、メキシコではこう言った「殺害予告」や「犯行予告」は割とあるようで、それによって休校になったと言う点のみが普段と異なっていたそう。
ここにも"JOKER"の影響が感じられてしまう。
もし"JOKER"によってこのような人が生まれてしまうのであれば、多分義務教育の敗北(メキシコにも義務教育制度に近いものはある)だと思うのだけれど、まだ大きな事件は起こっていないよう。それとも起こらないようにされているのか。
Luisは映画館からの帰り道、「最近この辺りパトカー多いよね、もしかしたら"JOKER"が上映されているのが理由かもね」と言っていた。
僕はもちろん「ジョークだよね?」と返したが、Luisはそれに対して
¿Vimos "JOKER" verdad? 「ジョーカー(冗談を言う人)を見たんだぜ?」
と返してきた。
その日、僕らは映画館から家までの15分で10台近くのパトカーを見かけた。